Lemon logo

Post button


第10回 檸檬小説コンテストの入選作品が決定しました!テーマは「部活」でした。

4名の審査員がそれぞれ10点の持ち点を持って全応募作品を読み、良いと思った作品に加点していく方式で審査を行いました。
グランプリ受賞1作品、準グランプリ受賞4作品を発表いたします!

第9回に続いて2回連続のグランプリ受賞です。
また、前回は審査員の票が割れたうえでの受賞でしたが、今回は4名の審査員全員が最高点をつけ、文句なしの受賞となりました。おめでとうございます!
吹奏楽部でフルートを担当する主人公と、その思い人で陸上部に所属する隼人。文化祭の吹奏楽部のステージ演奏を隼人が見に行く約束をしたことをきっかけに、2人の距離が徐々に近づいていく様子を時系列に沿って丁寧に描いています。
募集テーマの「部活」が小道具としてしか使われていない作品が多いなか、本作は部活に熱中する喜びや引退のときの心情がしっかりと描かれており、2人が惹かれあっていく過程もそれらにきちんと絡んでいます。吹奏楽部でなくても何らかの部活をしていた経験があれば、共感できるであろう描写が随所にありました。
ただ、細かい部分で少し気になる箇所もありました。「シャイニーケース」というワードが1話と2話に登場しますが、1話ではスルーされているのに2話では括弧付けで注釈がついています。ですが説明をするのであれば最初にしたほうがいいですし、また、括弧付けで説明をするのはあまり美しくないなと。説明よりも描写で表現できればすばらしいですが、今回の場合は「シャイニーケース」という固有名詞は使わず「楽器ケース」で代用してしまっても十分だったように思いました。


3名の審査員が点を入れました。
お互いに演劇部に所属するクラスメイト2人のお話で、文化祭で演じる劇を通じて進展する恋を描いています。
登場人物のセリフが自然で読み進めやすく、ラブストーリーではありますが深刻さはないのでさらっと読めます。ほのぼのとした終わり方で読後感もよいですね。
細かい部分では、気になるところもなくはないのですが……たとえば、2人の出会いのきっかけが「保健委員だった彼が、熱を出した主人公を保健室に連れていってくれたこと」と最初に紹介がありますが「それから毎日熱の心配をしてくる」とは……漫画ならそんなエピソードもありそうですが、現実に毎日熱の心配をしてくる人がいたらかなり変な人では?というような。全体的に漫画っぽいというか、リアリティが薄いんですよね。
とは言え、上手にまとめられているので「これはつまり漫画的な読み物、ある意味ファンタジーとして読めばいいんだな」と割り切れば質の良い短編作品として読めました。さらっと読めてしまうため心に残るものは多くなく、高得点とはなりませんでしたが楽しく読めた作品でした。

放送部に所属する、いじめにあっていた過去を持つ引っ込み思案の主人公と、2週間前になぜか放送部に入部してきた、学校一の不良で名高い真渕くん。放送部員が2人しかおらず、昼休みは毎日放送室で2人きりになるのだけれど……というところから始まるお話です。
書き出しの「私はマイクを通してしか喋れない呪いにかかっているのかもしれない」という一文が、語り手である主人公のキャラクターと「これからこういう話が始まるんだろうな」というわくわく感を高めてくれてよいなと思いました。
物語の展開も期待を裏切るものではなく、主人公の成長物語を兼ねたラブストーリーという感じで好感が持てるのですが、惜しいと思ったのが、真渕くんを「学校一の不良」というステレオタイプなキャラクターに設定してしまったことです。
一昔前の漫画のキャラクターなどではありがちですが「学校一の不良」という説明からはリアルな男性像をイメージすることが難しく、そのため物語がリアリティを失っているように思えました。
ある程度リアルにイメージしやすく、それでいて魅力的な男性キャラクターを設定できれば、お話がグッと引き締まったのではないかと思います。

高校に入学して間もない主人公は、校舎を案内されている途中で見かけた、美術部の3年生が書いたという絵に強く心を引きつけられ、その絵に恋をしてしまう……というところから始まるストーリーです。
「絵を通して表現された思いを共有する」というテーマはおもしろく、文章も上手で読みやすいのですが、ところどころ展開や設定に無理があるように感じます。たとえば、主人公が絵と出会ったとき、担任の先生がやけに主人公と絵について突っ込んで話しかけてくるので「まさかこの担任は主人公に気があるのか?」と思ってしまったのですがそんなことはなく、ストーリー展開上「主人公が絵に恋していることが噂になる」必要があったからそういうエピソードを作ったのだな、と感じました。
また、主人公が恋をした絵がなくなってしまった理由も唐突で、先生のエピソードと同様にとってつけた感が拭えず、ややご都合主義的に感じてしまいました。このあたりを「必然的なエピソード」として描くことができれば作品の質が上がるのではないかと思います。

中学時代はバスケ部だったけれど膝の故障で続けられなくなってしまい、それでもバスケが好きで男子バスケ部のマネージャーをしている主人公と、バスケ部キャプテンの琉心くんのラブストーリーです。
バスケットシューズの擦れる音やコートの臨場感の描写がうまく、作者さまご自身の経験や観察眼が活きているのではないかと感じられました。
反面、バスケットボールの扱い方がやや軽く、恋愛を成就させる小道具としてしか使われていないことは少し物足りなく感じました。たとえば「シュートを決めたらつきあう」というエピソードがありましたが、サッカーならまだしもバスケットボールで、キャプテンでシュート成功率ナンバーワンの彼がまったく決められない可能性などあるのだろうか?と感じたり。
純粋なラブストーリーとして見れば、少し甘すぎるきらいはあるものの、こういうお話が好きな人は多いだろうと思える内容です。ただ、琉心くんのセリフがかなり多く、後半は話を無理に引き延ばしているようにも感じました。4話のシュートが決まる場面で余韻を残して終わるぐらいでも、ドラマチックでよかったかもしれません。

賞品のAmazonギフト券は郵送ではなく、マイページ上にギフトコードを表示する形で差し上げる予定です。

1月28日ごろ、受賞された方のマイページにギフトコードをお届けしますので、チェックしてみてくださいね。

本コンテストはチャット小説檸檬が主催するものであり、Apple Inc.およびアップル関連会社は一切関係ありません。また、賞品にはApple Inc.およびアップル関連会社のものは含まれません。